お口の中にできる「舌ガン」や「口腔ガン」の予防について、早期発見について、知っておいていただきたいことをお話しします。
舌癌や歯肉癌、頬粘膜癌、副鼻腔粘膜などの口腔がんは、生命が危険にさらされるのはもちろんですが、治療の結果、顔貌に大きな変化をもたらす可能性があります。
また、気道や食道が近いという問題があります。命が救えたとしてもその後QOL(人生の質)に支障をきたす場合が多くあります。
とにかく予防と早期発見が大切。
お口の中の感覚は繊細ですから、異変を見逃すことなく、普段から気をつけておくことで早期発見にも繋がります。
舌がんや口腔がんの原因となるものは?
お口の中にできる癌には、舌にできる舌がん、歯茎やほっぺたなどの粘膜にできる口腔ガン、があります。
舌がんや口腔がんの主な原因を知っているだけで、避けられる可能性が高くなります。原因を知って、普段の健康管理に役立てていただけたらと思います。
以下のリストにある5つの要因が主な原因になっています。
これら5つについて、一つづつ解説してみます。特に5番目の項目「ウィルス」については、対処法についても言及してゆきます。
1) 合わない入れ歯で常に同じところが傷ついている
お口の中の状態は常に変化していますので、入れ歯を使っていて「なんだかココにあたって痛いなぁ」と感じることもあります。
でも、激痛というわけでもないし…「歯医者さんに今度こそ行こう!」と思っているうちに、時がだいぶ経ってしまったら、どうなるでしょうか?
最初は「ココがあたって痛いな」と気になっていた箇所があたることが普通になり、同じ箇所が刺激を受け続けているとガン化しやすくなってしまうのです。
同じ個所が繰り返し傷になると、そこの粘膜が癌化しやすくなりますので「入れ歯が合わない感じがする」というときは、できるだけ早く歯科医院を訪れるようにしてください。
いろいろな要因で、今まで合っていたものが急に合わなくなることだってあります。入れ歯は何度か調整しながら、心地よく使うようにしましょう。
夜寝るときは入れ歯をお口から外して、コップの水や消毒液につけてお休みください。
2) 歯のとがっているところで常に同じところが傷ついている
歯のとがっている部分で、お口の中の粘膜が傷ついてしまうことがあります。今までなんともなかったのに、なぜ突然、歯が尖ってあたるようになるのでしょうか?
人は皆、気づかぬうちに夜寝ている間に「歯ぎしりや」「歯の食いしばり」をしているものです。
気道の確保のために歯ぎしりをしているという説もありますが、その場合は同じ方向に同じ動きで「歯」をギリギリさせてしまうため、ある歯牙のある箇所が、毎晩こすられてしまうことになります。
その結果、歯の一部が尖ってきてしまうことがあるのです。
そんなときは、できるだけ早めに歯科医院に行き、歯の尖ってしまったところをスムーズにしてもらってください。
そして、夜寝るときに装着するマウスピースのような「ナイトガード」を作ってもらってください。歯ぎしりとか歯の食いしばりによって受ける衝撃を和らげます。
ただ、舌がんや口腔がんを患った方の中には、「自覚症状」が無い場合もあります。その理由は、繰り返し同じところが傷つくと刺激に鈍感になるからです。
鈍感になってしまった結果、そのまま長期に渡り刺激を受け続けてしまうことになるのです。
歯牙だけでなく、補綴物や詰め物が当たっていて粘膜が痛くなることもあります。
補綴物は時間の経過によりマージンがぴったりしなくなったり、隙間が空いてくることがあります。その結果、舌や頬の粘膜にあたって痛くなることもあるのです。
繰り返し同じ箇所に当たると、ガン化する恐れがありますので、「歯や補綴物が尖ってて痛い」と感じたら、すぐに歯科医院で診てもらうことをおすすめします。痛みが鈍化してしまう前に!です。
3) 喫煙
「喫煙」は、舌がんや口腔がんの一番大きな原因となっています。
*タバコの葉には発癌性の成分が含まれています。
*タバコを吸う時の煙の「熱」も発がんの要因です。
日本ではあまり見かけませんが「噛みたばこ」は、普通のタバコよりさらに口腔がんの発症確率を上げるといわれています。発癌性成分を含むタバコの葉を直接口の中に入れるので発癌効果が倍増するからです。
4) 飲酒
アルコールの刺激によって、舌がんや口腔がんの原因になることがあります。
アルコールがどのように粘膜に作用してがんになるのか?詳しいことはまだ解明されていません。
ただ、「お酒を飲む人」と「飲まない人」を比べた統計結果から、アルコールを多く摂取している人は、お口の中にガンが発生する確率が高くなる、ということがわかっています。
5) ウイルス
お口の中にできる舌がんや口腔がんの原因には「ウィルス感染」によるものもあります。
ウィルスの中でも特に「ヒトパピローマウイルス(HPV)」によるものが問題となっています。
ヒトパピローマウイルスといえば、子宮頸がんの原因として知られていますが、口腔がんの原因にもなるのです。
どちらの癌も、セクシャルコンタクトによりHPVに感染することが原因であることが多いといわれています。
ウイルスの除菌で前癌病変がなくなった例
当医院にも舌癌や歯肉癌や頬粘膜癌の疑いがある方が来院されます。
特に口の粘膜全体がただれるような潰瘍ができている場合はHPVが原因である可能性があります。
その場合は速やかにしかるべき病院に紹介を受けて検査を受けることは当然ですが、自分でできる事としては口の中のウイルスの除菌をするという補助的手段も有効なことがあります(あくまでも大きな病院での検査と治療が前提です)。
私が診た患者に口の中全体がただれて潰瘍ができている方がいました。これがいかにも口腔がんか、その前段階の前癌病変だと疑われたので早速大学病院に精査を依頼しました。
検査の結果はやはり、癌までは行かないにしてもその前段階であるが経過観察とのことでした。
とりあえずは緊急な事態ではありませんでしたが、いつ本格的に癌化するかわかりません。でも大学病院では経過観察ということなので治療行為は行われません。
そこで私が勧めたのが口の中のウイルスの除菌でした!!
その方法を、次の章でご紹介していきます!
口の中のウイルスの除菌
私が勧めているのは、自然療法でも使われるプロポリスを用いての「うがい」でした。
患者様に実行していただいたところ、一週間もしないうちに口の中全体を覆っていた潰瘍は消失し、赤くただれていた口の中の粘膜はきれいなピンク色に回復したのでした。
ですから、HPV感染に心当たりのある人や、口内炎が頻発する人は、プロポリスや他の抗ウイルス作用のあるエッセンシャルオイルを用いた、定期的な「うがい」をお勧めします。
抗ウイルス作用のあるエッセンシャルオイル(精油)の種類と、うがい方法をご説明します。
(備考)
◉キャリアオイルは、サンフラワーオイル・ごま油・ココナッツオイルなど、刺激の少ないベースオイルのことです。精油は刺激が強すぎてしまうので必ずキャリアオイルと混ぜて使ってください。
◉キャリアオイル大さじ一杯に対して、エッセンシャルオイル2~3滴の比率を目安にしてください。
◉10分間ブクブクうがいをした後、味が気になる様でしたら水でゆすいでください。
◉このうがい法は、歯周病の予防にもなるためおすすめです。
「プロポリス」は、ミツバチが木の芽や樹液、あるいはその他の植物源から集めた樹脂製混合物のこと。精油ではないため上の表に書いてないのですが、高い抗菌作用があります。
プロポリスも同じくキャリアオイルで薄めてから「うがい」してください。
口腔内の粘膜に問題がある方におすすめです。
舌癌を早期発見・予防するには?
先ほどの例で挙げた患者さまは、当院へ通院していて発見されたものです。ちょっとした違和感を感じたらすぐに歯科医院でチェックしてもらってください。
最近、あるタレントさんが舌癌に罹患されたことが大きく報道されていましたので、関心を寄せる患者さんも増えてきました。
最初は「治りにくい口内炎ができたな」、と思っていたそうです。どうりで、口内炎の薬を塗っても塗っても治らなかったわけですね。
定期検診の時は、歯や歯茎だけでなく、口腔内粘膜も診てもらいましょう!
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