健康寿命を伸ばして、いつまでも健康に過ごすために一番必要なことは、何でしょうか。
なんといっても、いつまでも「自分の足で歩く」ことが健康の要となるでしょう。
このことは一見、歯科治療とは関係がないように捉えられがちですが、実は、足の衰えと歯の領域の健康には密接な関係があります。
「奥歯でしっか噛む」ことができれば、脚力を失われにくくなります。
「奥歯でしっか噛む」ことができれば、握力が維持しやすくなります。
歯の領域で健康であれば、
脚力の衰えが緩和され、
寝たきりを避けることもできる、ということです。
高齢になっても強い足で元気に歩き回りたい
骨折などの怪我をする。ちょっとした病気で数日間療養する。すると当然ですが筋力が弱ってきます。その結局、寝たきりになってしまうケース、要介護になってゆくこともあります。
この連鎖的パターンは、できる限り避けたいものです。そして、いつまでも元気に自分の足で立って歩きたいと誰もが願っているのではないでしょうか。
高齢になっても自分の足で元気に立って歩くために、必要なことは何でしょうか?
それは『脚力』です。
脚力を保つために重要な2つののこと
【脚力を保つための2つの秘訣】
1つ目は、普段から脚力、つまり足の筋肉を貯筋しておくこと。
2つ目は、咬合力を整えておくこと。
1つ目の『足の筋肉の貯筋』ですが、ウォーキングに加えて、ある程度負荷をかけたスクワットなどが最適です。
2つ目の『咬合力』についてですが、これは顎でものを咬む力のことです。つまり顎の筋力のこと。
立ち歩くという「脚力」と「噛む力」の間に、何の関係があるんだ?と疑問に感じる方もいるでしょう。
しかし、実は咬筋という下「あごの外側についている筋肉」の筋力と、「腓腹筋」という足の筋肉の一つの筋力は比例していることが東京医科歯科大学の研究の結果明らかになっています。
つまり、噛む筋力が強い人は立ち歩く力も強いということが言えるのです。
だから、いつまでも自分の足で立ちそして歩くためには噛む力を整えておくことが重要になってきます。
そもそも歯がないと、噛む筋肉を整えられない
噛む力を整えるために、歯が無いと噛む力は発揮できません、噛む筋力を育むこともできません。
ですから、まずはしっかりと噛むために入れ歯を入れるなどの噛むための整備が必要なのです。
例えば、寝たきりで殆ど歯が無い高齢者に入れ歯を入れて差し上げると、驚くことにその次の瞬間にベッドから起き上がって立ち上がりそして歩き始めるなどということも起きるのです。
長年歯が無くて満足に噛んでいなかったわけですから、噛むための筋力もかなり弱り切っているはず。しかし、きちんと噛ませるだけで脚力が蘇ってしまうこともある、という現象をみると、しっかり噛むということがどれだけ全身の力強さに影響を及ぼしているかを伺い知ることができます。
さらに、以下はあまり知られていないことですが、しっかり噛む状態を作って差し上げると、脚力だけでなく握力までも蘇ることもあるのです。たとえば握力が低下して車のハンドルも握れなかった人が奥歯に歯を入れて噛めるようになったら、すぐに握力が回復して車の運転ができるようになるということも起きるのです。
噛む力と、しっかり噛んで顎を安定させることが、全身のバイタリティーに大きな影響を与えうるということなのです。
噛む力を鍛えること、顎の位置を整えることは、足腰の健康のための両輪となります
しかし、ただやみくもに噛ませればよいわけではありません。
「正しい顎の位置」と「正しい噛み合わせの高さ」を設定する必要があります。
顎の位置が狂えば、頭の角度も狂います。
あごには強力な筋肉がついています。その筋力は最大で自分の体重に匹敵するくらいの力を発揮します。
顎の位置が狂えばその強力な筋肉に引っ張られて頭も傾きます。体重50キロの人の頭(5キログラムほどになります)が5度傾くと27キログラムほどの重量が首にかかってしまうのです。すると首コリ、肩コリを引き起こすことになります。
ですから「噛める」ということは、とても重要ですが、加えて「顎の位置」も同じくらい重要なのです。
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