歯の根っこから毒素が出ているか?どのくらいの濃度か?を調べるヨーロッパの検査法です。神経を抜いた歯は根っこの先から毒素が滲み出ている場合があり、それが血管に流れ込むことで、不快な症状につながることがあります。

歯の根っこから出る毒素を科学的に検査

神経を抜いた歯(失活歯)から、「毒素が出ているかどうか」を、科学的に検査することが可能です。

OroTox ®TEST(オロトックステスト)というものです。神経を抜いた歯(失活歯)から出る毒素は炎症のマーカーを上昇させ免疫を低下させます。

そのため、歯から出る毒素が原因で:脳梗塞、心臓発作、リウマチ、線維筋痛症、腎炎、不妊症、湿疹になる可能性があることがわかっています。

虫歯が進行してしまった場合は、神経を抜いて根管治療をする必要がでてきます。最終的には、歯の根管に詰め物をしてから補綴物をかぶせます。

しかしこのように、たとえマイクロスコープを使ってしっかりと治療を施していたとしても、根管から毒素が滲み出てくることがあるのです。

その理由は…
 

神経を取った歯(失活歯)は、細菌感染しやすいからです。

 
<こちら↓健康な歯の象牙細管
 

 
すべての歯は無数の1ミクロンほどの非常に繊細な管(象牙細管)が交差しています。

この菅を1列に並べると、なんと5キロメートルほどになります。
 

「健康な歯」においては、血液が供給され続けているので象牙細管は清潔なままです。

しかし、「歯の神経が死んだ歯」「神経を抜いて根管治療をした歯」は、1年から2年以内に、象牙細管の中が口内細菌によってほぼ完全に占有されてしまうのです。

 
<こちら↓神経が死んだ歯の象牙細管
 

 
細管の中はシェルターのように、免疫システム、抗生物質、局所の消毒剤から完全に保護されています。したがって、歯は細菌感染の長期的な繁殖地になります。

細菌が広がる危険性に加えて、細菌がさまざまな種類の有毒物質を生産するという事実が非常に重要です。

細菌と同じように、これらの毒素も血液とともに全身を巡ります。↓
 

 

失活歯が安全なのか?危険なのか?を検査することができます

 

 
OroTox® test(オロトックステスト) は万病のもとになる失活歯から染み出す毒素を測定する検査。

その歯は安全な歯?それとも危険な歯?という問いに対する答えを、視覚化することができます。危険な歯とは様々な病気や不健康の源になる歯ということです。

つまり毒素が出ていない歯は安全な歯で、毒素が出ている歯は危険な歯で、毒素の濃度が高い歯はより危険な歯であるということなのです。

毒素の濃度が高いほど病気になる可能性が高くなるということになります。
 

失活歯(神経を抜いた歯)から起きうる健康被害

 
失活歯がもたらす可能性のある健康被害は:
 

脳卒中、心内膜炎、心筋梗塞、腎炎、リウマチなどの自己免疫疾患、繊維筋痛症、橋本病、膠原病、湿疹、乾癬、人工関節の感染、高血圧、動脈硬化、アルツハイマー、眼疾患、低体重児出産、肺炎、アメーバ―性脳腫瘍、湿疹、癌、血液疾患

 

毒素が出ていることがわかったら、次はどうする

 

 
毒素レベルは0~5の6段階で計測できます。
 
【0】の場合は問題ありません。
 
【2以下】の場合は、もう一度 消毒して根管治療をやり直すことをお勧めします。
 
【3~5】の場合は、かなり毒素の濃度が高く、根の再治療をしても毒素が消える可能性は低くなります。
すでに全身に及ぼしている影響が大きいと考えられるので抜歯することが推奨されています。

 
なお、重篤な病気をお持ちの方は、毒素濃度が1であっても抜歯が推奨されています(根端病巣がある歯も同じく抜歯)。血流とともに歯から滲み出ている毒素が病気と関連していると考えられているためです。

神経を抜いた歯(失活歯)は様々な毒素を体内に拡散させます。→
 

【例】
硫化水素、プロピオン酸、プトレシン、カダベリン、プロテアーゼ、ホスファターゼ、リポ多糖などの抗原)と様々な細菌(連鎖球菌、ペプトストレプトコッカス、バクテロイデス、アクチノマイセス

 
これら毒素が巡ると、全身の炎症マーカーは上昇し、免疫レベルが低下し、ミトコンドリア内の代謝に関わる酵素が阻害および遮断されてしまいます。すると組織にとって非常に負荷がかかります。その帰結は、元に戻すことができない健康被害であるかもしれません。
 

光学顕微鏡(マイクロスコープ)とは次元の違う話です

 
「歯根の治療は専門医に頼んでマイクロスコープを使って治療してもらっているから大丈夫」と思っていませんか?

目に見える歯根の管の治療はちゃんと出来ているかもしれません。しかし電子顕微鏡でないと見えない細い管である象牙細管の中まで処置して無菌化することは難しいのです。

しかも象牙細管は歯根の内面の管だけに口が開いているのではありません。

実は歯根の外側にも口を開けているのです。

治療が完了した後でも歯周病などがあると歯根の外から毒素を産生する細菌が侵入してしまい再び細管が細菌に汚染される場合もあるのです。
 

目に見えない本当の歯の健康度がわかる検査です

 

 
細菌に感染した失活歯の歯根からは硫化水素などの揮発性硫黄化合物などの毒素が出ることが分かっています。その毒素の濃度はオロトックステストで計測することができます。

レントゲン検査で歯根の先端に病巣の黒い影が見られない場合でも毒素が出ている事も多いのです。

歯肉が化膿して腫れているわけでもなく、噛んで痛いわけでもありません。

局所的にはなんの問題でもない歯、一見健全で何の問題も無いと思われるような歯であるにもかかわらず毒素を出して病気の源になっているのです。
 

免疫低下・エネルギー低下・炎症を引き起こす

 

 
失活歯からの毒素は、炎症マーカー上昇と、免疫低下と、エネルギー低下を引き起こします。

神経を抜いた歯、すなわち失活歯と呼ばれているものから毒素が滲み出ている場合は炎症の指標であるCRPやIFN-γ、免疫の状態を表す IL10 の血液中の濃度が高くなるということが分かっています。

CRPやIFN-γ が高いということは全身的な炎症状態にあるということであり、 IL 10は抑制性サイトカインであり、IL10が高いということは免疫反応が抑制され免疫が低下しているということになります。

さらに、神経を抜いた歯(失活歯)を抜歯すると IFN-γや IL 10の濃度が正常に戻ることが、研究により分かっています。

これは明らかに神経を抜いた歯が全身的な炎症状態を引き起こし、免疫低下を起こしているという証拠です。

また歯の根の治療すなわち根管治療を再度行ったとしても IFN-γ やIL10の濃度を正常に戻すことはできないケースが多々あるということも分かっています(抜歯以外で免疫や炎症状態を正常に戻すことが難しいケース)。

そのため、既に癌や心臓病、リウマチ、腎臓病、皮膚病などの重篤な病気をお持ちの方の場合は→「歯根の先端に病巣が有る歯」または「オロトックステストで毒素が出ていると判明した歯」は、毒素の濃度にかかわらず抜歯することが推奨されています。
 

病気をお持ちでない方の場合

 
病気が特に無い方で、オロトックステストで毒素の濃度が「2」以下の場合は、歯根管の消毒を続け再治療をして、しばらくたってから、毒素の再検査をします。

その結果毒素が「0」になっていれば、様子をみることになります。
 
【注意】
ただし再治療をしても毒素の滲み出しが消える確率は低いと言われています。

また、承知していないといけないのは、仮にいったん毒素の滲み出しがゼロになっても、再び細菌が繁殖して毒素を出すようになる可能性もありうる、という点です。
 

病気をお持ちの場合で、抜歯する際には病巣をつくらない処置が必須

 

抜歯するときは病気のもとになる病巣(ボーンキャビティー、NICO、FDOJ)をつくらせない特殊な処置が必要です。

 
抜歯する際に歯根周囲の靭帯のような膜(歯根膜)を取り切れなかったり、歯根の先端の腐敗した骨を残したままにする。

これらの見落としがあった場合『ボーンキャビティ』とかNICO(FDOJ:脂質変性顎骨歯槽骨壊死)と呼ばれている病巣ができてしまいます。
正しいプロトコルによる抜歯でなければ新たな問題を生み出すことがあるのです。

顎骨病巣ができてしまうと、病巣から出る毒素によってリウマチなどの自己免疫疾患や癌、心臓発作、脳卒中、腎臓病、皮膚病、甲状腺疾患、不妊症などを引き起こす可能性が高まります。

ただ闇雲に抜歯すれば良いというわけではありません。一般的に行われている通常の抜歯処置では不十分です。
 

顎骨病巣(ボーンキャビティー)と癌の関係

 
顎骨病巣(ボーンキャビティー、NICO)は癌の原因にもなる可能性があります。

「NICO」とか「FDOJ」と呼ばれる顎骨内の病巣は、ランテス(RANTES)という炎症性サイトカインを全身的に増加させることが研究により明らかになっています。

ランテス(RANTES)は、がん患者において有意に増加すると言われています。つまり癌の発症や増悪に関係している可能性があるのです。

乳がん患者の38%は乳がんのある同じ側の顎の骨にボーンキャビティ(NICO)と呼ばれている病巣が見られることから、乳がんとNICOの関係性が疑われています。

ですからNICO(顎骨病巣)を作らせないような特殊な手順で抜歯する必要があるのです。またすでにNICOがある方はそれを摘出する処置をしてRANTESを低下させることで乳がんなどのリスクを下げる必要があります。
 

抜歯したあとはどうするのですか?

 

抜歯したあとの処置としては3つあります。
*人工歯根(インプラント)
*ブリッジ
*入れ歯
それぞれ一長一短があります。

 
クライアント御自身が何を重要視するかで選択が変わるので、詳しい説明の上じっくり相談して決めてまいります。
 

①インプラントの場合

 
『ジルコニア・インプラント』は、しっかり噛める、他の歯に負担をかけない、ブリッジより長持ち、という利点があります。RANTESを出さないという最大の長所があります。

インプラントを希望する方は、抜歯と同時に人工歯根を埋めこみます。抜歯と同時に顎の骨にあいた穴に十分に骨が再生するような処置をほどこします。

当医院ではメタルフリーである『ジルコニア・インプラント』のみを推奨しております。(金属製のインプラントはやりません!)
 

⭕️利点

 
◎ジルコニア・インプラントは不良な骨(病巣のある骨)には接着しない、特徴があります。
◎アレルギーを起こさない、
◎インプラント周囲炎が起きにくい、
◎電流も発生させないので体に負担をかけません。
 

❌欠点

 
1>骨に根付かない場合もある。(チタンよりは骨に生着しやすい)
2>チタンインプラントと比較して少ないが希にインプラント周囲炎がおきる場合がある。
3>外傷などの無理な力かかると折れる場合も希にある(当医院ではチタンより強度が高いジルコニア・インプラントを使用します)

❎金属を使うインプラントはやりません!!:
🙅‍♂️金属であるチタンインプラントは不良な骨にも接着するのでRANTESという炎症性サイトカインの発生源になる場合があるのでおすすめしません。またチタンには微量なニッケルが含まれているためアレルギーを起こす場合もあります。その上に金属であるために電流(ガルバニー電流)を発生させることもあるので要注意です。

 

②ブリッジの場合

 
ブリッジは、失った歯の両隣を削って橋を渡すように被せ物をする処置です。
 

⭕️利点

 
1、装着感が良く異物感がない
2、メンテナンスが楽
3、しっかりよく噛める
4、セラミックので作れば見た目が自然
 

❌欠点

 
1、 歯を削ることで歯の寿命を縮める
(虫歯になりやすくなる、歯の神経が死んでしまうことがある)
2、少ない歯で大きな負担を負う
3、メンテナンスを怠ると歯周病になる
4、耐久年数は平均7年で意外と短い
5、麻酔が必要なことがある
 

③入れ歯(金具を使わないミラクルデンチャー)の場合

 

⭕️利点

 
1、歯を削らないので隣の歯にやさしい
2、麻酔が必要ない
3、金属を使わないので金属アレルギーやガルバニー電流がない
 

❌欠点

 
1、ブリッジやインプラントほどしっかり噛めない
2、手入れに手間がかかる
3、耐久年数が短い(3~4年)
4、破損しやすい
5、異物感があり発音しづらい
6、食事中に外れることがある
7、食べかすが内側に入り不潔になることがある