歯根からの毒

歯の神経を抜くと毒素が出る理由とは

虫歯がどんどん進行して、とうとう歯の神経(歯髄と言います)まで到達してしまった段階を「C4」と呼びます。

神経を抜いた後には細い空洞ができます。そこを何度か消毒してから詰め物をして塞ぎます。

実はこの神経が入っていた空洞は血管につながっています。

今回の動画は、C4の処置をしたその後に起こりうることについてのお話です。

原因のわからない不快症状にお悩みの方、慢性的な症状がいつまでたってもなくならない方には特に、最後までご覧いただければと思います。

YouTube『健康歯科チャンネル』のセリフ文字起こしを元に、記事にしていきます。よろしければ動画と合わせてご覧ください。


歯の神経を抜いた後は除菌しきれない

こんにちは。『健康歯科チャンネル』ホリスティック歯科医師 大橋康之です。

今日は、なぜ歯の神経(歯髄)を抜くとそこから毒素が出るのか?について、話をしていきたいとおもいます。

結論から申し上げますと、歯の神経(歯髄)を抜いて、そこを根管治療をしても、完全に菌を除去することができません。

歯の中から有機物を完全に除去することができないのです。また、歯の根っこの中から(歯そのものから)バイ菌を完全に除去することが不可能なのです。

完全に除菌することができないわけですから、根管の中の腐敗を止められないのです。

根管内の腐敗が止められなければ、そこから毒素は出つづけてしまうということです。

なぜ歯の根っこにある神経をとった後の空洞(根管内部)の中から、有機物を取りきれないのでしょうか?

なぜ細菌を除菌しきれないのでしょうか?これからその理由について、お話ししていきたいとおもいます。

歯の根管治療の手順は

歯の神経を抜くこと(歯髄を抜くこと)を「抜髄」といいます。その後に行われる歯の根っこの消毒治療のことを「根管治療」といいます。

根管治療の手順は、以下のようになります。

1)  腐敗してしまった神経や神経(歯髄が腐敗してしまったもの)を取り除きます。

2) ファイルと呼ばれるもので、歯の根っこの中にある悪いもの「有機物」や「感染したもの」を削り、取り搔き出します。

3)  何度か消毒を繰り返します。

4)  消毒が終わったら、歯の根っこの空洞にお薬(防腐剤)をぎっしり詰め込みます。

以上が根管治療(歯の根っこの治療)の一連の流れです。

歯の根管内の有機物は除去しきれない

ルートキャナル(根幹治療の手順)

先に示した根管治療の手順を行なったとしても、完全に内部に残っている有機物や最近はは除去しきれません。

除去しきれない理由(問題点)は4つあります。

🦷【理由その1】

一つ目の理由として、「根管の複雑性」が挙げられます。歯の根っこの中の管はとても複雑な構造をしているのです。

歯の根っこと言っても、単純な1本の管ではありません。歯の根っこの管「根管」は、非常に複雑に枝分かれしているのです。植物の根っこのようなイメージです。

その枝分かれしてるものを「側枝」といいます。

上の画像↑の中の、中央のところにある細い器具を「リーマー・ファイル」といいます。これで根っこの管の中を拡大して、中から悪いものを掻き出して削り削り取っていきます。

しかし、リーマーファイルは主な太い根管の中にしか入っていきません。

歯の根管には、メインの部分の他に枝分かれして(根っこのようになっている)「即枝」の部分があります。

リーマーファイルは、主根管の中のみに対応していて、枝分かれしているところまでは入らないのです。ですから、細い細管である「側枝」は、手付かずのままになってしまうのです。

たとえ顕微鏡を使って施術しても、それは物理的に不可能なんですね。

そんなわけで、側枝には有機物が残ってしまうし、バイキンも残ります。

🦷【理由その2】

2つ目は「象牙細管と」いう非常に細い管の中まで消毒できない、という問題点です。

象牙細管とは、歯の象牙質に無数にある直径0.8~2.2マイクロメートルの細い管のこと。 (上の写真参照)

歯の構造➡︎

乳白色の「象牙質」の表面を透明な「エナメル質」が覆っています。歯の根っこの方では、象牙質の外側を「セメント質」と歯茎に守られている構造になっています。

歯の表面が透明な「エナメル質」、その奥が乳白色の「象牙質dentin」、そのさらに奥の「セメント質」に歯髄守られています。

象牙質の外部から歯の中心の神経(歯髄)まで無数の象牙細管が走っています。
象牙質は上部(歯冠部)でエナメル質に、下部(歯根部)で歯根の外壁であるセメント質と周囲の歯茎に守られています。

象牙質内には無数の象牙細管があって、それは、歯髄からエナメル象牙質境にかけて放射状に網羅されています。象牙質の外部から歯の神経までを網羅して無数の象牙細管が走っているのです。

歯の本体は、「わずか1ミクロン前後の細い管である象牙細管の集合体」ということになります。

歯の本体を細かく電子機器部顕微鏡で見ていくと、細い管が積み重なって束になっている状態になっているのですが、これが象牙細管です。

生きている歯では、象牙細管の中には有機物が満たされています。しかし、歯の神経を抜いてしまって歯が死んでしまうと、象牙細管の中の有機物は腐敗してなくなり、やがて空洞になっていくわけです。

その空洞になった管の中にバイ菌が入り込んで悪さをするわけですね。

象牙細管は目には見えません。光学顕微鏡でも見えません。電子顕微鏡じゃないと見えないのです。

それだけ細い管の中にバイ菌が入り込んでしまうのです。

🦷【理由その3】

神経を抜いた後の歯の根っこの中を完璧に除菌できない理由の3つ目は、象牙細管が「外」に通じているから

「知覚過敏」という言葉をテレビCMなどで聞いたことがあるかもしれません。

虫歯でもないのに「歯がしみる」という症状があります。冷たい水あるいは空気で呼吸しただけで歯がしみるのが知覚過敏です。

知覚過敏があるとき、象牙細管が外に向かって口を開けている状態になっています。

外と中がツーカーになってしまっていて、外で起きた温度の変化や、水の流れに敏感に歯の神経・歯髄が反応してしまっている状態が知覚過敏なのです。

ですから知覚過敏の治療の一つとしてはその象牙細管の穴をふさぐというのが治療法の一つなわけです。

「外と中がツーカー」だと、どのようなことが起きるでしょうか?

歯髄を抜いて(あるいは根管治療をして)完璧に中は消毒して除菌できたとしても、いずれ外から再感染が起きるのです。

たとえ「根管治療完璧にできた」「側枝も完璧に治療できた」「象牙細管の中からも除菌できた」という状態がつくれたとしても、象牙細管が「外」に開いているかぎり、いずれは再感染が起きて、腐敗がふたたび進行していくのです。

腐敗が進行していけば、毒素がまた出てくる。これはどうしても避けられないことであるという結論に達するわけです。

🦷【理由その4】

4つ目の理由は、根管治療の直後は大丈夫でも、しばらく時間がたつと「細菌が猛毒を出す」ようになることがある、という点です。

象牙細管に入り込んだ細菌は凶暴化することも。それまで、それほど毒素を出していなかった細菌が、猛毒を出すようになってしまう。

かなり多種の毒素を出し、それらが健康にとって非常にマイナスになるということです。

<<<次回の予告>>>

歯の根っこで腐敗が進行した時に、どんな毒素が出るのか!?

そしてその毒素は体にどんな悪影響を及ぼすのか!?

これらについて、次回の動画で取り上げていきます。

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